クレアチニン値が高いときには、腎臓の負担を下げて、腎機能を改善することが大切です。
腎臓をサポートするγ-トコフェロールについて、詳しく調べてみました。
トコフェロールとはいわゆるビタミンEのことで、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4種類が存在します。
物質としては黄色っぽい粘り気を帯びた液体で、水に溶けることはなく、油やアルコールによくなじむ油溶性の性質を持ちます。
その中でも、腎臓機能の改善やクレアチニン値を下げることへのサポートが期待されているのが、γ-トコフェロール。
動物の体にはもともとα-トコフェノールが豊富に存在していますが、人の体の筋肉や皮膚にはγ-トコフェロールのほうが多く含まれていることがわかっています。
植物油にも多く含まれ、新たな働きなども解明されつつある注目の的の成分です。
γ-トコフェロールの腎臓のサポート機能としては、ナトリウム利尿ホルモン(LLU-α)へと代謝されることが解明されています。
つまり、γ-トコフェロールには強力なナトリウムバランスの調整機能があるというわけです。
しかも、このナトリウム利尿ホルモンの利尿作用は緩やかで、カリウムを排出させないこともあって、高血圧症腎不全の改善に期待が寄せられています。
また、γ-トコフェロールほどではありませんが、同時に優れた抗酸化作用があるのも魅力です。
このように、γ-トコフェロールは人体にとって有用な成分と言えますが、もともと体に備わっているぶんは、加齢とともに減少していってしまうのが残念なところ。
油に溶けやすい性質なので、食品から摂るとカロリーオーバーになってしまうこともネックのひとつです。
サプリメントなどを活用して、手軽に摂取するようにするといいでしょう。
γ‐トコフェロールは、ビタミンEの一要素です。
ビタミンEに含まれるγ‐トコフェロールの量は非常に少ないものですが、ナトリウム排泄促進に関係するものとして、既にいくつかの報告があります。
参考:ビタミンVol.78,No.4「1.γ-トコフェロールのNa利尿作用(脂溶性ビタミン総合研究委員会 第304回会議研究発表要旨)」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/vso/78/10/78_KJ00003332817/_article/-char/ja/
ただし、注意すべき点としては、動物の体にとってナトリウムは非常に重要な働きをしており、体内のナトリウム量の減少は生命維持を脅かすことになりかねないということです。
そして、γ‐トコフェロールの作用はあくまでも、塩分を多く含む食品を摂取したことによって体内のナトリウム量が増加した場合に、その排泄を促進してくれるという点です。
では、γ‐トコフェロールをできる限り多く摂取したほうが良いのでは、と考えてしまいがちですが、過剰摂取によって起こる副作用というものもあるようです。
ビタミンEは、α、β、γ、δのトコフェロールと、α、β、γ、δのトコトリエノールがあります。
γ‐トコフェロールを多く摂取しようと思ったら、ビタミンEを多く摂取することになります。
しかし、ビタミンEの過剰摂取は、人体に悪影響を及ぼします。 正しく言うと、ビタミンEの過剰摂取によってα‐トコフェロールを同時に多く摂取することが、副作用をもたらしています。
その一つが、骨粗鬆症です。
骨粗鬆症とは、骨密度が低下することで、主に閉経後の女性に多くみられます。
近年では、コラーゲンの摂取量が少ない、閉経前の若年女性にも見られると言われています。
人の体の細胞が新陳代謝により日々生まれ変わっていることは皆さんもご存知かと思いますが、骨も同様に日々生まれ変わっています。
それにかかわるのが、「破骨細胞」と「骨芽細胞」です。
破骨細胞とは、古くなった骨を壊していく作用を持つもので、一方骨芽細胞は、骨を作り出す細胞です。
ビタミンEの過剰摂取は、この破骨細胞を巨大化し、骨の吸収・破壊を促進することが分かっています。
これとは逆に、ビタミンEを代謝する酵素を持たないものでは破骨細胞の巨大化が抑えられ、骨密度が正常に保たれることも同様に報告されています。
また、γ‐トコフェロールの過剰摂取により、体内のナトリウム濃度が極端に低下すると、何らかの症状が出現します。
例えば、人が元気に活動するために必要な腕や脚の筋肉、あるいは血液を全身に循環させるための心臓の筋肉では、収縮を開始するためにナトリウムが必要になります。
しかし、ナトリウム排泄量の増加による体内のナトリウム量の減少は、腕や脚の筋肉、あるいは心臓の筋肉の収縮力を低下させる場合があります。
また、ナトリウム濃度の低下によって吐き気や下痢などの消化器系の症状や、肝臓機能の低下も招くことがあります。
人の体では、血液中と細胞、あるいは細胞と細胞の間(細胞間質)のナトリウム濃度によって浸透圧が成り立っていて、血液中のナトリウム濃度の低下は全身の浮腫みを招くこともあります。
ビタミンEは水に溶けやすい水溶性ビタミンではなく、主に脂に溶けやすい脂溶性ビタミンです。
ですから、尿と共に排泄することが困難なため、過剰に摂取すると排泄されることはなく、体内に蓄積します。
このため、過剰摂取は体に様々な副作用をもたらすのです。
だからといって、ビタミンEの摂取を中止するというのは、適切ではありません。
その理由は、次に述べるビタミンEが体に与える良い作用に由来します。
人間の体において、細胞は代謝を繰り返していますが、その過程で活性酸素が発生します。 活性酸素は細胞を傷つけるものとして知られています。
美容に興味や関心が高い女性であれば、一度は聞いたことがあるかと思います。
活性酸素は全身の細胞を傷つけます。
特に、体の表面に見える皮膚の細胞を傷つけることで、シワを生み出したりします。
ビタミンEには抗酸化作用があり、この活性酸素を減少させる作用があることが分かっています。
つまり、お肌を若々しく保つためには欠かせない要素なのです。